• テキストサイズ

あなたに捧げる【鬼滅の刃/短編集】

第3章 その瞳で見つめてー炎柱・煉獄杏寿郎


本来なら私は死んでいてもおかしくなかった。
本当は死にたいと思っていた。
あのとき、鬼に殺されていればよかった。

そう思っていた。
気づいたら口に出していた私。

杏くんは聞き逃さなかった。
そう言った私を初めて怒った。

「命よりも大事なものなどない。軽々しく死にたいと言うな…。言わないでくれ…。どんなに辛くても、強く生きろ。」


ー強く生きろ。


その言葉が私の胸に突き刺さって、私は家族の分まで生きなきゃいけないと思った。

それから私は特に荷物もなかったので、すぐに杏くんと一緒に屋敷に向かった。

いつのまにか事情を知っていた千くんも温かく向かい入れてくれた。
杏くんのお父様とは、幼い頃に何度か会ったことがある。
とても面白かった記憶があったけど、杏くんのお母様が亡くなってしまってから、ずっと引きこもってお酒を飲んでいるらしい。

「の部屋はここだ。」
「こんなに広いお部屋…」
「気にするな。部屋はまだ残っている。」
「そう…あの、ありがとう、杏くん。」
「なにかあったらすぐに言ってくれ!」
「うん…ありがとう。」

両親を失ってしまった悲しみはもちろん消えなかった。
だけど、それ以上に私に優しくしてくれた杏くんと千くんに心が和んでいた。
恩返ししなくちゃ…!
料理も家事ももっと練習して、杏くんと千くんとお父様に喜んでもらいたい。
私にこんなにもよくしてくれたから…。





洗い物を終えた私は商店街にお買い物に出掛けた。
いつも八百屋のおじちゃんとか、甘味処のおばちゃんとか、お肉屋さんのお兄さんとか…本当に色々な人が私にサービスしてくれる。
ありがたいことだけど、買い物に行く度にすごい荷物だった。
着替えて髪の毛を櫛で解かした。

「杏くん、お買い物行ってくるね!」
「気をつけるんだぞ!」

私は杏くんに手を振って、商店街に歩き出した。
商店街に着いたらいつものように八百屋のおじちゃんが話しかけてきた。

「おおちゃん!今日もサービスしてあげるよー!寄っておいで!」
「おじちゃん!いつもありがとうー!」
「あらちゃんじゃないの!丁度よかった、新作ができたのよ、食べてみてちょうだい!!」
「おばちゃん!!新作食べてみたい!」

いつも通り買い物を終わらせ、
屋敷に戻ろうとしたときだった。
/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp