第3章 その瞳で見つめてー炎柱・煉獄杏寿郎
私には好きな人がいる。
私が5歳のときからずっと側にいた人。
髪が金色で、毛先だけ赤くて、燃えるような赤い瞳で、声が大きくて、優しくて、面白くて…
「おはよう!!!!」
「わぁぁっ!!びっくりした…おはよう杏くん。」
「さつまいもの匂いがするな。」
「あっ、気づいちゃった?朝食、さつまいものお味噌汁作ったの!!」
「本当か!は俺の好物をわかってくれているんだな!」
「いつから一緒にいると思ってるのよ…」
杏くんは、嬉しそうに座った。
「すぐ持っていくからね~」
「ありがとう!」
私は杏くんの朝食を運んだ。
「いただくとしよう!」
「召し上がれ。」
丁度千くんも起きてきた。
「おはようございます!兄上、さん!」
「うまい!!」
「おはよう千くん、朝食できてるよ。」
「すみません寝坊しちゃって…ありがとうございます!いただきます!」
「うまい!!」
朝から元気だなぁ…。
あれだけ大声出してるのに、声が枯れたことないのよね。
朝食を食べ終わって、私は片付けをしていた。
すると後ろから杏くんが来た。
「、いつもすまないな。」
「うん?何が?」
「食事や掃除…色々やらせてしまっているだろう。」
「いいの!私が杏くんの屋敷に居させてもらってるんだから。」
「たまには手伝うぞ?」
「杏くんがお皿洗ったら全部割っちゃいそうね!」
「ううむ…否定はできないな!」
そう言って杏くんは笑いながら台所を離れた。
私がなぜ杏くんの屋敷に住まわせてもらっているのか。
もう少しで私の誕生日…20歳になる数日前だった。
私の両親は、鬼に殺された。
私を庇ったせいで。
夜中に家を襲ってきた鬼は、私の前で私の両親を…。
私はそのとき何もかも失った。
だから、そのまま私も殺されて…両親と一緒に死ぬはずだった。
鬼の鋭い爪が私に伸びてきたとき、杏くんが鬼から私を守ってくれていた。
そしてあっという間に鬼の頚を切って、鬼を倒していた。
私は生き延びた。
杏くんが鬼殺隊という組織に入っていることを知ったのはこのときだ。
行く宛のなくなった私を、幼馴染みの杏くんは優しく屋敷に迎え入れてくれた。