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ガラス玉と鉄の弾

第1章 序章


蝉の鳴き声が疎ましい真夏の昼下り
白いシャツが汗で貼り付きとても不快だった。
額を伝う汗は目に入る。

『くっそ。見つかんねーわ。お陀仏になってんじゃねーの?』

は殺人を犯かし逃走した人物を追っていた。

「崖から落ちて滝壺に沈んじゃってたりしてな。お前も気をつけろよ?」
『やーまーだーけーぶー。私そんな鈍臭く無いですよ。ていうか応援よこせっての。こんな山の中じゃ…だいぶ手こずるな。』
「そっちはどう?」
『居るわけねーじゃん。なんで2人なの?応援は?』
「知ら… パァァァァンッ
『山田警部っ!!』

一発の銃弾が山田警部の腕に命中した
おそらく逃走犯が撃ってきたものだ

私は撃ってきた方角を見つめ
そっと腰の拳銃を握りしめた

大丈夫
山田警部は死なないから
腕に当たっただけじゃ死ぬはずがない

ここは山田警部は放っておいて大丈夫
そう判断した


カチャリとスライドを引く
その間も揺れ動く草むらをじっと見つめる

そこに居る
ここれ殺してしまってはダメ
やむを得ない発砲だ
足を狙えば逃げきれなくなるだろう
またいつ発砲してくるかもわからない


ゴクリと唾を飲み込む
向こうもこちらの様子を伺っているであろう
目を離さないように、私はそっと木の陰へと身を隠す


隠れれば追ってくるだろうか
先程までの蝉の鳴き声が嘘のように耳に入ってこない

暑い

緊張と暑さで汗が尋常じゃない



カサッ



草むらから男の足が見えたと同時に私はトリガーを引いた






パァァァァン






乾いた発砲音とともに男はその場に崩れ落ちた



…と同時に私は足を滑らせ崖へと落ちて行った




うそだろ、おい

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