第1章 銃と薔薇
「失礼しまーす…」
「貴方は昨日の日本人!また来てくださったのですね。どうぞごゆっくりしてください」
「はい…」
外の賑やかさとは相反して、中はシーンと荘厳な雰囲気が漂っている。
そして教会中には信者の人は一人もおらず、華やかなステンドグラスが煌びやかに教会内を照らしていた。
「あまりこの時間帯は信者さんたちはいらっしゃらないんです。どうです?よろしければ私のコレクションでも見ていきませんか?」
「コレクション…?」
「私こう見えて革製品の家具を作るのがささやかな趣味でして。似合わないですよね」と顳顬を恥ずかしそうに掻く。
「素敵な趣味ですね。ぜひ拝見したいです」
そういうとパァッと顔がさらに明るくなり、「是非是非!」と興奮気味にはしゃいでいた。
こう言った一面があるからこそ愛される理由なのかなと納得し、私は神父のあとをついていった。
神父は奥の事務室の傍にある地下へ繋がる石階段を降りた。
蝋燭の明かりはあるものの薄暗く、先は闇に包まれており、この地下室は水捌けが良すぎるのかチョロチョロと地下水が脇の溝を流れる音が響く。
「ここです、ここですよ。ここで作っているんです。ここで」
少しコリィ神父の発言が辿々しくなっていくのを感じた。