第1章 銃と薔薇
私はボーッと市街地を歩いていた。
「今日大事な商談か何かあるのかなぁ」と独り言を呟く。
毎回女がいると話が進まないのかそういった場に呼ばれない。
もう少し威厳があれば私もそばに入れるのかな、とふと最近思う。
「bonjour、ちゃん。今日はブチャラティはいないの?」
「bonjour、リザさん。ブチャラティは今日は別のお仕事に行ってます。」
「そうなの〜、いい男と話せないのは寂しいわぁ」とニコニコ微笑むリザおばあちゃん。
ブチャラティはご年配人気はとてつもなく、多くのご老人に愛されている。
「あ、そうそう。コリィ神父って知ってるかい?」
「コリィ神父ですか?」
「そうそう、数ヶ月前からそこの裏道を抜けた教会に配属された神父さんなんだけどね、すごく気前が良くて優しくて。誠実で、その上ハンサムなのよ〜」
あの神父はどうやらコリィ神父というらしい。
この情報通なリザおばあちゃん曰く、結構ご近所からの信頼は厚いらしい。
その後もコリィ神父がどれだけ熱心な方か。ご老人に親身だとか、素敵なお話をしてくれるとかいう話も聞いた。
「じゃあちゃん。寒いから気をつけてね。ブチャラティにもよろしく言っておいて」
そう言ってリザおばあちゃんは手をひらひらとふって去っていった。
時刻は昼過ぎ。
辺りはまだ明るい。
何だかあの教会が気になったので再び赴くことにした。