第1章 銃と薔薇
「何話って?」
先程承太郎さんが腰をかけていた椅子にジョルノが座り、神妙な面持ちで私を見つめる。
「今日、貴方を殺そうとした神父はあの猟奇的殺人犯でした。
そしてあの場に吊るされていた女児の遺体。多分あの子が貴方を助けたのでしょう。
電話もどこか幼い声でした。」
「そうだったんだ…」
「そしてもう一つ、常日頃から貴方の態度から思うことがあります」っと言って彼は真剣な面持ちで私に聞いた。
「あなたの眼には僕は映っていないのですか」
「え?」
あぁいや好意は知ってたけど…16と20よ…?
犯罪だし…弟にしか見えないというか。
ジョルノは私の手を握り俯きながら昔話を話し始めた。
あれはいつも通り、イタリアの祖母の家を出てジョルノを迎えに行った時だった。
当時私は10歳、ジョルノは6歳だった。
ジョルノは黒髪でおかっぱ。暫し姉弟と言われることが多く、おばあちゃんもジョルノをとても可愛がった。
ある日ジョルノの家で遊んでいると酒に酔ったジョルノの父親が酒瓶を片手に私たちに向かってきた。
「よぉ…ジョルノ…ひくっ…お、もいんのか…」
「おじさん。お酒はやめるって言ってたよね」
そうこの親父は実母の再婚相手。もちろんジョルノになんか愛情は微塵もない。ジョルノと会うたび服の下にはアザが増えていた。
「あぁ!?まぁ許してやるけどよぉ…みねえうちに綺麗になりやがったな…」
「…やめて。お姉ちゃんを離して父さん。」
「クソガキは引っ込んでろ!」
「ハル!」
ジョルノはいつもとは違い、へこたれず必死に私を庇い続けた。
何度も何度も殴られた、蹴られ。
小さなジョルノの体は限界を迎えていた。
殴っている隙をねらい私は覆い被さるようにジョルノを庇った。