第6章 呪霊憑き
「…行っちゃったね」
宿儺と あすか の後ろ姿を見送りながら、老婆の隣にいた少女は、少し寂しそうに言った。
「おや、お前は宿儺が取られて妬んでたんじゃないのかい?」
ケヒヒヒ、と笑ってみせる老婆に、少女は「最初はね」と言って、言葉を続けた。
「でもね、巫女さまの呪力って何だか暖かかったの
宿儺さまが巫女さまの事を好きになっちゃったのは残念だけど、私じゃ巫女さまには敵わないよ
御婆さまだって そう思ってるんでしょ?」
と、少女は老婆に聞いた。
「あすか は良い子だ
お前も良い子だが、宿儺から護ってもらわないと隣に居ることは出来ないだろう?
あすか は強くなろうとしてる…
あの2人はまだ お互いの気持ちを伝えていないようだがね」
と老婆は言った。
「早く告白しちゃえば良いのにね」
「ケヒヒヒ、だから お前は子どもなんじゃ」
「??」
少女の言葉に老婆は笑った。
「宿儺の周りは厄介だからねぇ」