第2章 出逢い
⦅ あすか との出逢いは偶然だったのだろうか…?⦆
宿儺は隣で寝息を立てる あすか の前髪を さらり と撫でた。
ん…、と あすか は 小さく声を出した。宿儺は起きたかと思い、あすか を見ていると、あすか は またリズムよく寝息を立てた。
気持ち良さそうに眠る あすか を見ながら、いつの間にか宿儺も眠っていた。
時は平安。
呪術全盛期と呼ばれ、呪霊や、ソレを祓う呪術師、呪術師から闇堕ちした呪詛師たちが、それぞれの目的のために動いていた。
宿儺は まだ "人間" であった。
強い呪力を持っており、金持ちの貴族から呪霊を祓うことで、金を得、生活に困らないだけの裕福を手にしていた。
もちろん、それだけ強い力を持っていれば呪術師が放っておくはずがない。
何度も呪術師に誘われたが、宿儺は組織に身を置く事を嫌がった。
そして、いつものように金持ちの貴族から依頼があり町を歩いていると、巫女装束の女とすれ違った。
⦅…あの巫女も なかなか強い呪力を持っているな…⦆
あまり他者に関心を向けなかった宿儺だったが、その巫女は不思議と関心を持った。
依頼主である貴族の屋敷についた宿儺は、すぐに この屋敷の主の元に通された。
「よく来た。最近、夜になると胸が痛むのだ」
屋敷の主は言った。
宿「太りすぎだから心臓に負担がかかっているのではないか?」
ケヒッと皮肉を込めて返事をしてやると、その主は「無礼な!」と真っ赤な顔をして声を荒げた。