第16章 少年院
蒼の言葉に パッと顔をあげて あすか が聞くと「ああ」と蒼は返事をした。
『でも、地下室からは出られないし…』
五条との約束の事を気にする あすか に、蒼は「大丈夫だ」と言った。
「精神を飛ばすんだ。肉体は此処(地下室)に残る」
『へぇ。でも何で そんな事ができるの?』
不思議そうに聞く あすか 。
「詳しい事は よく分からんが考えられる仮説は2つある。
1つ目は俺が土地神で、女(姫)に憑いていた時のように他者の精神に入り込めるから。
2つ目は宿儺が頸を落とされそうになった時、俺が宿儺の中に入った事があったな。その時に俺と宿儺の間に呪力の道のようなものが出来たのかも知れぬ」
『そっか』
「どうする? 宿儺の精神に入り込むか?」
蒼は あすか に聞いた。
あすか は少しだけ間を置いてから『うん』と返事をし、
『お願い 蒼。私を宿儺さまに逢わせて』
あすか は真っ直ぐ蒼を見て言った。