第12章 歯車たち
五条と家入の見立てで完成した制服は巫女装束だった。
普通の巫女装束は京都校の庵が使用しているため、あすか の白衣(はくえ)の襟や袖のラインは黒く縁取りされ、袴も黒い。
動きやすいように袴の足首が少しだけすぼまっているのが特徴だ。
「現代風の制服もイイけど、あすか は初めて会った時から巫女装束だったから、コレがしっくりくるね♪」
「庵センパイとは また違う雰囲気でイイ」
五条と家入は何度も大きく頷いた。
『それで、私はこれからどうするの??』
「俺たちと同じ学生として生活してもらうよ♪」
『ふ~ん』
高専の案内を受けながら、あすか は宿儺の指の気配を探した。
⦅ 上手に隠してるなぁ…。うまく探れない… ⦆
「あすか は何ができるの??
体術ってイメージ無いけど」
五条は自分たちの教室に案内し、あすか を真ん中の机に促した。
『私は体術が苦手だからね。式神を使う事が多いよ』
席に着座し、自分の事を教える あすか に、姿を表した蒼が苦言を呈した。
「自分の術を そう簡単に話すものではないぞ、あすか」
『教えた所で何も起きないから大丈夫だよ』
「そうだ、ヘビ。
お前は大人しく あすか の中に居ろよ」
蒼と睨み合う五条をよそに、家入は あすか に聞いた。
「あすか さんは何で宿儺の指にこだわるの??」
核心をつく質問に あすか は ははっ と笑った。
『硝子ちゃんイイね。面白いよ』
クスクス笑いながら、あすか は続けた。
『宿儺さまは私の旦那さまよ』