第7章 クリスマス'21
サンタ帽子を受け取って被るリュウだが、大人用ということもあって少しブカブカな様だ
目深になってしまった帽子を風見が屈んで整える
「コレで見えますか?」
「うん!」
帽子の下から出てきたクリクリした目に、思わずキュンとしてしまう風見も天使の笑顔3目の前でゲット!と心の中で叫んでいた
「クリスマスプレゼントもあるんですよね、風見さん!」
「大したものではないんですが、一目惚れしてしまい是非と思って…」
そう言ってプレゼントを手渡す風見
部下たちは自分で用意した物ではないのに次々と開けてみてくださいと興味津々である
「え~なんだろ…」
みんなが開封を急かすせいで内心「ビックリ箱なんじゃないか?」と恐る恐るリボンを解く
そして箱を開けると…
「か、かわいいし…なんか…」
リュウの手によって箱から顔を出したのは、ふわふわなティディベアだった
「降谷さんにそっくりだと思いませんか?」
そう言うのも、降谷の髪と同じ色をした毛並みで、額の部分にはクロスした前髪ができている
「うん!出した瞬間零さんにそっくりだと思った!すっごく嬉しい!」
そう言いながらティディベアをギュッと抱きしめるリュウに部下たちの目のフィルターは都合よくキラキラほわほわとエフェクトがかかり、天使が舞い降りてきたかの様にスレーベルの音が鳴り響く
「あのね、オレからも少しなんだけど、クッキー焼いたからもらってもらえる?」
「やった!俺達にもサンタが来た!」
「天使の手作りだぞ!」
「今日出勤で良かったー!」
ティディベアを抱かえたまま個包にラッピングされたクリスマスクッキーを一人一人に手渡すリュウの研究室には歓喜の声が飛び交っている
そしてみんなでケーキを食べ、ちょっぴり休憩時間を延長してしまったが、公安クリスマスパーティーは幕を閉じた
ティディベアはリュウが手作りのスーツを着せて研究室のパソコンの隣に飾られ、同じ種類の小サイズを購入していた風見も同じく自分のデスクにちょこんと座らせている
部下達からは「テデ谷さん」と呼ばれ、降谷が不在の時にもしっかりと部署を守ってくれているようだった
一緒にケーキが食べられなかった降谷にもリュウが取りわけ分を持ち帰り、帰宅した降谷と食べながらトナカイ姿をした風見の話で盛り上がったとか…
END