第7章 クリスマス'21
世間も賑わうクリスマス
もちろん公安刑事にクリスマスなんてないのは重々承知で、各々仕事に取り組んでいる
降谷はバーボンとしてクリスマスパーティー会場での取引に呼ばれてしまい不在となり、リュウはというと、零のいないクリスマスなら仕事をすると朝から研究室にこもりきりである
「せっかくのクリスマスなのに天使も出勤だなんて酷くないですか!?」
シフトを組んでいるのは風見ではないのを知りながらも桜谷は行き場のない不満を風見にぶつけ、風見を挟んで反対側の机からは永山が同じように風見に言葉を飛ばす
「そもそもあんな小さい子がこんな所で働くって有りなんですか!?」
カリカリと書類にペンを走らせる風見は、中身は立派な大人だし、そんな今更なこと言われてもと言葉を受け流すも、2人のやり取りは更に続く
「何か…クリスマスっぽいことしてあげたいですよね」
「それいい!何する!?」
「休憩時間にケーキ持って行くとか!」
「プレゼントも何か用意できたらいいよな!」
「天使は何が欲しいですかね~」
2人の言葉は風見の頭の上を行き交い、ついに動いていたペンが止まる
「私を挟んで会話をするな!!」
「「ひぃぃぃっ!」」
怒りながら風見の両隣りの机にメモが叩き付けられる
2人が恐る恐るそれを読むと…
『クリスマスケーキ7号2種類(1番近くのケーキ屋)』
『サンタ帽子又はトナカイ帽子人数分(倉庫のイベント用棚)』
「か、風見さんコレ…」
「昼の休憩時間に入ったら至急調達だ」
「了解!!」
今シーズン1番の敬礼が風見に送られた
一方、リュウはというと、すっかりクリスマスの事なんて頭にはなく、黙々とパソコンに向かってカタカタとキーボードを打ち鳴らしている
年末年始に公安が警備にあたる会場の案件が次々とできあがり、それをシュミレーションシステムに入力し最終のチェックをしたり、参加団体の情報をまとめたりと、クリスマスどころではなく、もうすっかり年末年始の頭となっている
本当は早く仕事を切り上げて自宅でちょっとしたクリスマスディナーでもと前々から計画をしていたが、急遽降谷が組織で動くことになってしまっては仕方がない
少年探偵団から誘われたクリスマスパーティーもこんなに仕事があれば断らざるを得ない状況で、やはりこの仕事に就いた限りは仕方がないと思うのだった