第6章 ハロウィン'21
そして少し経って折り返しの着信がなる
『お待たせ!いいってよ!』
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
『一言、言うだけでいいんだよね?』
「はい!!」
まさか本当にお願いを聞いてもらえるとは思ってもいなかった風見は驚きと嬉しさを混ぜ込んでグダグダな2人にスマホ画面をビデオ通話にして見せた
「おわっ!リュウさんじゃないですか~!」
「リュウさんの仮装が拝めるだなんて!!」
そんな2人の声に部署内の他の刑事も集まってくる
画面の向こうのリュウはカボチャの帽子を被ったドラキュラの仮装をしていた
首元にはマントの紐が蝶結びになっており、子どもらしいドラキュラを演出している
カメラの位置が上からで、自然と上目遣いな角度からしっかりと映っていた
『トリックオアトリート!お菓子くれないとイタズラしちゃうぞぉ~!がおぉ~!』
「「「……………!!!」」」
顔の隣で両手の指を軽く曲げ、にぃ~っと笑う口には小さな2本の歯が可愛らしく尖っている
「リュウさん激カワです…!」
「がおぉ~って…!」
「待機組で良かった…!」
「ハッピーハロウィン!!」
「お菓子ないんでイタズラしてくださいぃぃ!!」
画面の向こうの照れてるドラキュラに目をキラキラさせている刑事達
『ほぉー…全員イタズラがご希望か…』
「ふ、ふるっ…!!」
映像が動いたかと思うと降谷が映る
降谷もまたドラキュラの格好をしており、前髪を上げ、首元にはクラヴァットと大人な色気を醸し出している
リュウを撮っていたのは降谷だったようで、今は自撮りの向きで2人が映り込んでいる
背景的にそこはポアロの裏口の路地であろう
『おい風見』
「はいぃぃ!!!」
『そういえば明日から取り掛かる案件の資料、届いていたよな?』
「はい!明日と言わず今から取り掛かります!!」
話が早くて助かるよ…と不敵な笑みを見せる降谷
『一夜限りの悪夢を見せてやる』
『みんな頑張ってね!』
リュウの応援で閉じたリモートハロウィンに、画面が切れてもそこに向かって手を振るお花畑な刑事達
しかしこの後、案件の資料の量を見て全員が思う
(悪夢な量じゃねぇぇぇ!!!)
地獄の資料整理が夜通し行われるのであった
「さ、僕達は中に戻ろう」
「うん!」
END