第6章 ハロウィン'21
「世間はハロウィンですって~」
「俺らはただ待機~」
「待機も仕事!」
公安本部降谷の部署内
ハロウィン当日の夜、賑わう世間を羨ましそうに部署に待機しているのは永山と桜谷、それをなだめている風見
「風見さんはハロウィンとか興味ないんですか!?」
「この仕事に就いてから何年ハロウィンしてないんだろ…」
はぁ…と同時にため息をつく二人の視線の先のテレビには、街中で仮装する人々の姿
時々ハロウィン警備の警官も映ったりしており、現地入りする警官も色々な思いで市民の安全を守ろうとしてくれているのであろう
そんな中、風見達はもしもの為の待機組
そんなもしもはあまり起こって欲しくないが、イベント事を狙ったテロも想定し、テロでなくても公安案件となれば動かなくてはならない
グダグダしているこの2人もいざとなればバリバリ働く公安刑事だが、やはり所詮は人間、一般市民の様に楽しみたい時だってあるのだった
風見だって心の中ではハロウィンをしたかった
降谷は安室としてポアロでハロウィンイベントだと言うし、リュウもポアロでコナン達とパーティーだと言う
上司2人は仕事の内と言えどハロウィンをしているではないか
「………あ!」
「なんですか風見さん!?」
「いや、もしかしたらハロウィンできるかもしれないぞ」
そう言って風見は給湯室に1人で移動し、電話を掛け始める
「リュウさんお忙しいところすいません、実は…」
かくかくしかじか部署内の空気を説明し、電話の相手に向かって1人ペコペコ頭を下げる
『えぇ!?オレはいいけど零がなんて言うかな…っつーか、子どもじゃないんだから気持ち切り替えろよ…待機も仕事のうちだぞー?』
「はい…それはわかっているんですが、一夜限りの夢をなんとかお願いできれば…」
電話の向こうはポアロでハロウィンパーティーをするリュウだった
降谷は接客に大忙しで電話は絶対に繋がらないだろうとリュウに掛けたところ、やはり想定した通り仮装した安室を目的に客足が絶えず大忙しの様だ
『零に聞いて許可がもらえたらまた連絡するから』
「はい!よろしくお願いします!!」
良い返事になるかまだわからないが、既にルンルンする気持ちに足取り軽くあの2人のもとに帰って行った