第3章 ~思い出を~
緑間side
詩翠や高尾と話していると、詩翠がまた男子生徒に捕まったようだ。
全く…何回話しかけられたら気が済むのだよ…。
うまくかわした詩翠だったが、今度はその男子生徒は俺の方を睨んできた。
ふとした時に詩翠がその事に気付いたのか、そいつの胸ぐらを掴んで、いつもより低い声で話し始めた。
「…おいお前…なんで真太郎のこと睨んでんだよ。俺の相棒傷付ける奴は許さねぇぞ…。」
こちらからは死角になっているため、詩翠の表情は読み取れないが、男子生徒の焦り方からして恐らく睨んでいるのだろう。
慌ててそいつは何処かに走っていった。
「なぁ真ちゃん…今の詩翠すっげーカッコよかったくね?」
高尾が呆然と話し掛けてきた。いつもなら「うるさい」と言って誤魔化すが今回はそこまで頭が回らなかったようだ。
「あぁ…。そうだな。」
女にカッコいい等と思うのは違うんだろうが…素直にそう思った。
俺の事を思っての発言なら尚更だ。
「ん?何喋ってんだ?」
思考を元に戻すと、詩翠が腰に手を当てて俺達を見ていた。
「なっ、何でもねぇよ!な、真ちゃん?」
何故俺に振るのだよ…。
「あ、あぁ。気にするな。」
できるだけ平静を装ってそう答える。
詩翠の事を話していたなど…とても恥ずかしくて言えないからな…///
その後も何度か聞かれたが、誤魔化すうちに諦めたのか聞いてこなくなった。