第17章 ただ私は蘭ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【前編】
「栞だっけ?お前可愛いから連れて帰るわ♡」
「連れ、えっ!?」
「後さ…お前女の子だろ?」
「嘘…分かるん、ですか?」
「お、ビンゴ?♡カマかけて見たんだけど、やっぱり当たってたっぽい?」
「えぇ!嘘だったんですか!?」
「いぃ〜や♡確信がなかっただけ…だってお前ちいせぇし、ほせぇし…ちゃんと飯食ってるか?」
「食べてますよ!というかそれ同じ事、蘭ちゃんに言われた事ありますしっ!」
「俺言った覚えねぇけど…何か他にも聞かなきゃいけねぇ事がある見たいだなぁ」
墓穴を掘った。顔色を悪くさせる私にケラケラ笑う蘭ちゃんに連れ攫われる形で、漸く解放されたお姫様抱っこをまたもや過去の蘭ちゃんにされてしまう。それに対して顔を赤くさせた。その状況を楽しむかのように「ははっ♡可愛いなぁ…栞は…♡」とご機嫌そうにぎゅうぎゅうと抱き締めて来て、訳が分からない私は「蘭ちゃん苦しいよっ…」と声を漏らしたのだった。
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「はっ?栞が消えたんだけど…?」
俺が腰に抱いていたのに、俺から離れる訳がねぇのに忽然と消えたから一瞬驚いた…が、直ぐ冷静になれた。怒りを通り越すと逆に頭が冷静になるというのは本当らしい。アイツは俺のモノだ、誰にも譲らないし…この俺から逃げられる訳ねぇよな。
「荷物を先にマンションへ置いて来ないとなぁ…」
栞は寂しがり屋だから、早く探してやらねぇときっと一人で泣いてるだろうし…そう携帯を片手に連絡を取る。何コールかして仕事中だろう竜胆の声が耳に届いた。