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取り敢えずケーキが食べたいです【東卍夢(梵天)】

第17章 ただ私は蘭ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【前編】


「ははっ♡可愛いなぁ…栞は…♡」
「蘭ちゃん苦しいよっ…」

私をお姫様抱っこでぎゅうぎゅうと抱き締めて来る過去の蘭ちゃんに困惑する。えっと…どうしてこうなったんだっけ?

ーーー

私と蘭ちゃんが一緒に暮らし始めて1ヶ月程経ったある日の朝である。蘭ちゃんが私を外に連れ出してくれる事になって、デート気分に恋人繋ぎでマンションを後にしたのだ。パーカーにフードを被って眼鏡を付ける、蘭ちゃんはそんな私を見て可愛い可愛いと猫可愛がりするのだ。

「蘭ちゃん、いつもありがとう…」
「ん〜?何かあったかぁ?」
「ううん、何も…ただいつも面倒を見てくれるし。今回だって外にも出してくれたから…」
「……」
「私ね?蘭ちゃんと一緒にいれて、蘭ちゃんが初めてヒールを拾ってくれたあの時から…とっても幸せで、だから…ありがとうって伝えたくてーーっ…」

そう笑って蘭ちゃんを見ると同時に、蘭ちゃんは私へと近付いて唇へとキスをした。驚いて目を見開いた私へ、少し恥ずかしそうに彼は笑う。

「らん、ちゃん…?」
「俺も栞の事拾えて、出会えて嬉しい…」

嫌だった?と困ったように小首を傾げた蘭ちゃんは狡い、じわじわと顔を赤くした私は視線を逸らして「聞かないでよ…馬鹿…」と言葉を発した。くつくつと可笑しそうに笑う蘭ちゃんの声が耳に届く、そのままご機嫌気味に私を連れ去るように歩いて行った。

「蘭ちゃんって絶対モテただろうなー…」
「急にどうした?」
「きっと昔もカッコ良かったんでしょう?」
「ん〜?どうだろうなぁ…寧ろ女に飢えた男共に良く声掛けられて、ボコボコにした記憶しかねぇわ」
「えっ?」
「俺、昔は三つ編みだったんだよ…解いたら背中くらいまであるさ」
「嘘!凄く見たいっ!」
「つっても写真とか俺の手元にもうねぇしなぁ…」
「そっか、蘭ちゃん美人さんだから見たかったなぁ…絶対可愛かっただろうし…」
「今の蘭ちゃんも美人で可愛いだろ〜?♡だから我慢しようなぁ〜?♡」
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