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取り敢えずケーキが食べたいです【東卍夢(梵天)】

第15章 ただ私は春ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【前編】


「えっ、何…嘘っ…」

私の世界に帰って来た訳じゃない、私はまた知らない場所に来てしまっていた。今は直ぐに帰らなきゃ…春ちゃんの元へ。そう先ず携帯を片手に連絡を入れて見ても繋がらず、蘭ちゃんや竜ちゃん等他にも連絡したが繋がらなかった。春ちゃんのマンションへ足を進めて見ても、そこにまだマンションは建設されておらず顔色を悪くさせて行く。

「やだっ…やだ、どうしよう…私が、帰りたいって…言ったから…」

道端に座り込み、カタカタと体を震わせる。いや、嫌だ、春ちゃん…春ちゃん…春ちゃん…助けてっ…怖いよぉ…

「へぇ、可愛い子いるじゃん」
「男なのに小さくて可愛い…俺この子なら全然イけるわ」
「ねぇ僕?お兄さんと遊ばねぇ?」

お前、ナンパ下手くそかよー…とゲラゲラ笑う男達に身震いする。どうしよう…ううん。先ずは逃げないと。春ちゃんばかりに頼りきりじゃ駄目だ、怖いけど頑張らなきゃ。そう顔を隠して立ち上がると、身を翻して走り去る。逃げる私を追い掛けて来る男達を何とか撒くように走る。今日男装していて良かった、靴はスニーカーだから普段よりも走り易い。ただこんな時、きっと無条件で助けてくれる人…春ちゃんの事を思い出してまた泣きそうになった。

今は昼間、隠れる場所もなければ逃げる場所もない。どうしていつも私だけがこんな目に遭うのと苛立ちすら覚える、そろそろ足がもつれて来てしまい息をするのも辛くなって来た。

「春ちゃん…はる、ちゃん…っはる、ちよ…もう!私の事、助けるって言ったじゃん!助けてよ、春千夜っ!!」
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