第15章 ただ私は春ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【前編】
「春ちゃん、お願いがあるんだけど…一緒に外行ってくれない?」
「あ?」
「私がこの世界に来た時にいた場所へ、どうしても見ておきたくて…」
「行った所でもう1ヶ月は経ってるぞ、それでも行きたいのかよ」
「うん、だから私とデートして?」
「で、でーと…?」
「ん?うん…デートだけど、春ちゃんが忙しいなら、別の人と一緒に行くしーー…」
「行く、ぜってぇ行く、死んでも行く」
死んだらデートに行けないと思うんだけど、それはツッコんじゃいけないだろうなぁ…と春ちゃんに笑い掛けて「ありがとう」と伝え抱き着いた。
ーーー
髪をまとめてダボッとしたパーカーを着替えるとフードを被る。伊達メガネを付けて春ちゃんの元へ向かうと春ちゃんは胸を抑えて蹲っていた。
「可愛いっっ…」
「なるべく男装して見たんだけど…」
「ゔっ…心臓発作で死ぬ…」
いや、春ちゃんの死因がトキメキの過剰摂取で心臓発作になって死にましたは笑えないから止めてね?いや…蘭ちゃんや竜ちゃんは過呼吸になるくらいお腹を抱えて笑いそうだなとは思うけど。万ちゃんと一ちゃんは呆れて頭を抱えてそうだけれども…そんな春ちゃんも今日はスーツ姿ではなく私と同じようなパーカーとスキニーパンツで帽子を被っていた。あれだ、カップルコーデじゃん。と言うか春ちゃん足長っ…
「はぁ…結婚しよ」
「いや…急に真顔で言わないで、美人だから余計に圧が怖いのっ」
春ちゃんの真顔もそうだけど、私の知り合いの真顔って妙に圧があって怖いんだ。美人だからというのもきっとあると思うけど…そんな春ちゃんに早く行こう?と声を掛けて連れ去るようにマンションを出て行った。