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取り敢えずケーキが食べたいです【東卍夢(梵天)】

第2章 私は春ちゃんのものです(白目)


私の性別が女だからなのかは分からないけれど、春ちゃんは私の前ではいい子ちゃんらしい。春ちゃんにも珈琲を作ろうとキッチンへ戻る私に、三人の視線が突き刺さる。春ちゃんはどさりと苛立つようにソファーへ腰掛けると口を開いた。

「ここに栞がいる事、まだお前等しか知らねぇよな」
「まぁな~だって明らかにヤベェ案件だろぉ?あんな可愛い子を誘拐したら流石に足付くだろうし、どう首領に説明するわけ?」
「誘拐したくてした訳じゃねぇよ。偶然外で会って、帰る場所がねぇから連れて帰って来ただけだし…」
「えっ?じゃあ結構訳ありな感じか?見た目と話した感じは薬に手ぇ出してるタイプには見えなかったんだけど?」
「ん、まぁ…色々あんだよ、女の子にはな」

電車に轢かれてこちらに来た事は言わず言葉を濁す春ちゃんに対して、目敏い二人が気付かない訳もなく(ま~だ何か隠してんなコイツ)と思ったが敢えて聞かなかったように見えた気がした。その話しを耳にしながら、私が春ちゃんに声を掛けてマグカップを手渡すと飲む事もせずにテーブルへと置いてしまった。そして直ぐに無言で両腕を広げて「ん」と一言。それを見て今お兄さん達が居るのにするの?とは思ったが、しないとしないで後が怖い為、仕方なく春ちゃんに「お帰りなさい、今日もお疲れ様でした」と抱き着いた。そして一度腕を離して貰い、ちょこんと彼の膝の間に腰掛ければ、お腹の方に腕が回された。最初慣れるまでは、端正な顔立ちが間近くにあって緊張と恥ずかしさでドギマギしてしまったが慣れてからはそれが当たり前になっていた。

「「はっ?」」

マグカップを片手にポカンとしているお兄さん達を見て苦笑いを浮かべていれば、春ちゃんはスリスリと甘えるように私の肩に顔を埋めて深呼吸を繰り返す。

「えっ、はっ?何今の、羨まっ…」
「栞、後で俺にも同じ事やって♡」
「あ゙?誰がさせるか、栞は俺のもんなんだよ」
「いや、私は別に春ちゃんのものではないかな?」
「あ゙?」
「嘘です、ごめんなさい。私は春ちゃんのものです」
「そうだよな~春ちゃんのものだもんなぁ?分かればいいんだよ♡」
「可哀想、脅されてんじゃん」
「栞、こっち来~い♡そんな怖いお兄さんじゃなくて、俺が沢山甘やかして可愛がってやんぞ~」
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