第9章 if…快適過ぎて逆に困る(1)
「栞、スーツ脱がして♡」
「はいはい」
スリーピーススーツのボタンを外して行き、上着を脱いで貰うように促す。竜ちゃんからは「えっ、はっ?新婚じゃん」と声を漏らしていた。ネクタイを緩めて解く時、喉仏に刺青があって、やっぱりえっちだなぁ…とそれを眺めてしまう。
「なにじっと見てんの、えっち♡」
「あぁ…いつ見ても喉仏にある刺青が色っぽいなぁって」
「ん〜?何なら上半身も見せてやろうか?♡」
「いや、結構です」
ほら、もう服着替えて来て。そうネクタイを解いた私は蘭ちゃんに上着を手渡すと背中を押した。
「竜ちゃんも夕飯食べてく?」
「えっ、あ、うん…栞や兄貴が、良ければ?」
「ふふ、お洒落なコース料理とかは作れないけど家庭的なご飯なら作れるから竜ちゃんも服着替えて来て?」
「わ、悪い…ご馳走になるな?」
「いいえーあ、竜ちゃん!」
「えっ?」
私は蘭ちゃんの元へ向かう竜ちゃんを呼び止めて、優しく語り掛けるように「お帰りなさい、お疲れ様でした」と声を掛けた。すると竜ちゃんは幸せそうな顔で失神したから、私は悲鳴を上げるし私の声でリビングへ帰って来た上半身裸の蘭ちゃんは「なにこれ、どう言う状況なの?」と倒れている竜ちゃんを見下ろした。
「先ず蘭ちゃんは、今直ぐ服を着てっ!」