第2章 time travel
✱✱
『ん……』
双葉は目が覚めるとそこはどこかのベッドに寝ていた。
消毒液のツン、としたにおい。
白を基調とした部屋。
ここは病院……?と思ったが、カーテンが開けられて女性が双葉の方にやってきた。
「あら、世良さん大丈夫?貴女、貧血で倒れたのよ」
『貧血……そうだ!!男性は?!無事なんですか?!』
「せ、世良さん、落ち着いて?男性って?」
女性の言う通りに落ち着こうと深呼吸をして、辺りを見渡すとそこは見たことのある風景、そしてその女性にも見覚えがあった。
『き、木村先生……え?』
そう、そこには双葉が中学の時にいた養護教諭の木村だった。
(え、夢?私駅で倒れたはずじゃ……)
そう戸惑っていたら廊下の方から大きな声が聞こえ、保健室の扉がガラガラと音を立てて開かれた。
「せんせーー!!双葉大丈夫??」
「佐野くん、ここでは静かにしなさい。そして世良さん今起きたわよ」
「双葉ーー!!急に倒れたからビックリしたーー!!」
『え、え、ま、マイキー……??』
双葉に近づいて、ぐわんぐわんと揺さぶっているのは見間違えるはずがない。
双葉の家族であり、昔からの想い人でもある佐野万次郎、通称【無敵のマイキー】だった。
「うん、マイキーだよー!」
『これ、夢……?』
双葉はまだ戸惑っていた。
それもそうだ。
さっきまで自分は駅のホームにいて、なんなら27歳のいい大人。
なのに、目の前にいるのは15歳の想い人。
そう思っていたらマイキーはニコニコしながら、双葉の頬をむぎゅっとつねった。
「また寝ぼけてる?」
『いひゃい……まいひーいひゃいっひぇ……』
「ごめんごめん、双葉がかわいくてつい♡」
マイキーは手を離すとよしよしと頭を撫でていた。
そうしていたら辮髪で長身の男が保健室へ入ってきた。
「マイキー……双葉大丈夫か?」
「あ、ケンチン。今起きたっぽい」
『ケンちゃん……』
(マイキーもいる、ケンちゃんもいる。痛みもある。もしかして過去にタイムスリップした??)