第2章 time travel
警視庁である程度仕事を終え、タクシーを捕まえ米花町2丁目に向おうとしたその時携帯が鳴る。
電話の相手は上司である黒田兵衛管理官。
『はい、佐野です……はい、渋谷の……直ぐに向かいます。
運転手さん、渋谷の○○までお願いします』
タクシーに行き先を伝えると、双葉は事件現場に直行する。
現場に到着すると、そこはトラックで突っ込んだような現状だった。
『で、現場は?』
「どうやらトーマンの抗争によって、トラックが出店に突っ込んだようです。被害者が2名出ています」
『また、トーマン……』
トーマンとは、今日本で取り上げられている犯罪組織【東京卍會】のことだ。
「ガイシャは橘日向さん、そしてその弟の橘直人さんです。ガイシャの所持している身分証明書で判明しました」
『そう……』
双葉は悲しげな表情を見せて、被害者のいる方に手を合わせる。
そして、心の中で『ごめんなさい……』と呟いた。
それから翌日渋谷署に行き、事件の手掛かりになるものがないか現場検証をしていた。
……が、何も見つからなかった。
ただ、トーマンの抗争だということだけ。
その後も2日間捜査したが何も進展無し。
そして7月4日、夕方のところで所轄の刑事に「佐野さん……少し休まれては?」と言われ、鏡を見たら目のクマがさらに酷くなっていた。
仮眠したとはいえ、ほぼ四徹状態……これでは降谷さんに見せる顔がないな……と思ったのか、久々にセーフハウスに帰るべく電車に乗ろうと駅へ向かった。
(帰ったら……2時間だけでも仮眠しないと……)
そう思いつつボーッと電車が来るのを待っていたら、フードを被った男が男性を突き落とすのを目撃した。
『まて……!…ッ……』
男性を助けようとしたが、寝不足の上に貧血を起こしたのかその場で倒れてしまった。
──────キーーーーン
耳鳴りだけがなっていて、いつの間にか目の前が真っ暗になっていった。
(また、助けられないのか……)
そこで双葉の意識は途絶えた。