第4章 Rally
万次郎の頬を引っぱたいて部屋を出た後、まっすぐ自分の部屋へと行き閉じこもってしまった。
『なんなのアイツ……』
そんなことを思いながらも、布団を頭からかぶりそのままふて寝してしまった。
✱✱
«万次郎side»
アイツ、ビンタすることねーじゃん。
ただアイツは知ってるのかな?って興味持っただけで。
頬に真っ赤なもみじのような手形をつけて、リビングへといくとエマもシンイチローも驚いていた。
「その顔どうしたの?!マイキー」
『……アイツにビンタされた』
「アイツって、双葉ちゃんのことか?」
「でもなんで双葉姉がビンタなんか……」
2人に訳を話した。
そしたらむしろ俺が怒られた。
「それはマンジローが悪いな」
「そうだよ!女の子にそんなこと聞いたりして、サイテー!」
「とりあえず双葉ちゃんに謝ってこい」
「なんで俺が……」
「マイキー謝りなさい!じゃないとごはん抜きにするよ!」
「ごはんもできっから、そのついでに連れてこい」
2人に押されて双葉の部屋の前まで行く。
何を謝ればいいんだ。
部屋の前で立ち尽くして、ドアを開けるのをためらった。
「双葉……あのさ、俺……」
こういう時、なんて言えばいいんだ?
あんなこと言ってすまなかった?普通にごめん?
そんなことを思いつつ言葉を発するのをためらっていたら、部屋の扉がゆっくりと開かれていき、そこには俺の事を睨みつけている双葉の姿があった。
『なんの用』
「あの、シンイチローとエマが……おまえに謝れって言って……」
そんなことを言いたいわけじゃないのに。
素直にゴメンが言えなくて。
『人から言われないと謝ろうって思わないんだね』
図星だった。
実際、2人に言われるまでさっきのことが双葉にとって悪かったことだなんて思っていなくて。
「あの、その……双葉が嫌がるってわからなくて……」
『…………』
「自分の興味あることをさ、双葉も知ってるのかなって思ったら聞きたくなって……」
『…………』
「その……なんというか……」
たった3文字の言葉さえも言えないなんて。
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