第4章 Rally
「それでは娘をよろしくお願いします。秀吉、行くわよ」
「双葉……またね……」
母の手に連れられて、私との別れを惜しんでいる秀吉。
涙ぐんでて、これから本当に別れて暮らすんだというのがわかった。
でも永遠の別れという訳ではない。
住むのは別々だけど、連絡はこれからちょくちょく取るようにするだろうし、なんなら会いに行こうと思えば会えるのだから。
その後は真一郎くんにこれから暮らす家の案内をしてもらい、私の部屋となるところに案内された。
「ここが今日からお前の部屋だ」
ここが私の部屋……
キャリーケースには必要最低限のものしかなく、後は明日荷物届くという。
和室6畳と一人部屋としては普通なのかわからなかったが、布団一式と衣類ケースだけは佐野家が用意していたらしくて既に押し入れにしまってあった。
真一郎くんが部屋を出た後、キャリーケースから荷物を取り出して洋服や肌着などを衣類ケースに入れていく。
他のものは明日以降に買い揃えればいい。
母は前もって私用の通帳を作っており、そこには養育費と私のものを買うお金が入っていた。
そしてこれから毎月養育費を送ってくれると言っている。
まぁ今思えば、羽田さんから出してもらってたんだなと気づいてしまったが、当時10歳の子供である私にはそんなことはわからずにいた。
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