第4章 Rally
《はい》
インターフォンのスピーカーからは若くて低い、男性の声が聞こえた。
「先日、羽田さんに紹介していただいた世良ですけど……」
《あぁ、今出ますね》
そう応答があり、出てきたのは20代くらいの若い男性だった
「今じいさん道場の方に行っていて……先に案内しますね」
男の人に言われるままに客間に案内され、お茶を出された。
「じいさんと、俺の兄弟とかも呼んできますので少し待っててください」
そう言うと客間を離れ、道場と呼ばれる所へと行ってしまった。
母は凛とした表情で座っており、横で座っている秀吉は和風の家が珍しいのか辺りをキョロキョロと見ていた。
「秀吉、そんなにキョロキョロしないの」
「だってママ、ぼくこういうとこ初めて見たから興味があって…!」
数分後、男の人がおじいちゃんと同じくらいの歳の男の子と女の子を連れて客間に入った。
「こんにちは、わざわざ遠いとこからよくおいでなさった。羽田さんから事情は聞いておる……その娘がそうなのかな?」
おじいちゃんは私のことを見てそう言った。
「はい、この度は娘を預けていただけるということでとても感謝してます」
「ワシのとこも孫が3人もいるんでな…女の子1人増えたくらいなんともないわい」
おじいちゃんはニコニコしていて、私を歓迎してくれるみたいだった。
「おっと、孫たちを紹介しますな。さっき貴方達を案内した、こっちのデカいのが長男の真一郎じゃ。で、真ん中のちっこいのが次男の万次郎。右にいるのが長女のエマじゃ」
「真一郎くん、万次郎くん、エマちゃん。私はメアリー・世良って言うの。横にいる娘が長女の双葉よ。これから貴方達と一緒に過ごしていく家族だと思ってくれればいいわ。そしてその隣にいる息子が次男の秀吉。本当は長男もいるんだけど、今アメリカに留学してるからいないわ」
母が私のことを紹介すると、挨拶しなさいと言われたのですることに。
『今日からお世話になる世良 双葉です。よろしくお願いします』
父と母に習った日本語で喋る私。
日本語で喋る私を見て、万次郎と呼ばれる男の子は目をキラキラさせて声をかけてきた。
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