第3章 contact
「ねぇ、マイキー君。なんで俺の事気に入ったんすか?」
タケミチは自転車漕ぎながら後ろに乗っているマイキーを見ながらそう聞いた。
だがマイキーから帰ってきた答えは、くっだらねー質問…だった。
そして何を思ったのかマイキーは喋りだした。
「俺……10個上の兄貴がいてさ、……死んじまったんだけどね。
無鉄砲な人でさ、自分より全然強い相手にも喧嘩挑んじゃうんだよね」
「へぇー……カッケェ人だったんすね」
「たけみっち、兄貴に似てる」
「へ?そんなかっこよくねぇっすよ!どこをどう見たら!」
マイキーに兄貴に似てると言われてタケミチは動揺しながら言ってたら、マイキーに「確かにたけみっちみたく、ダサくねーなぁ」と言われてしまった。
河川敷をある程度走り、途中で止まるとマイキーは語ってくれた。
今はヤンキーがダサいと言われる時代。
マイキーの兄貴の世代では、すごい数の暴走族がいて。
マイキーたちがいる近くとかでもチョッカンコールならして走っていた。
みんな肩肘張って、喧嘩ばかりして、でも自分のケツは自分で拭いて。
そんな奴らがなぜダサいのだろうか、と。
「だから俺が、不良の時代を作ってやる。お前もついてこい。
……俺はお前が気に入った、花垣武道」
喧嘩強いヤツなんていくらでもいる。
だが譲れないもののためなら、どんな奴でも盾つける……タケミチみたいな人はそうそういない。
マイキーもドラケンも、タケミチのそういうとこを見たからこそ気に入ってダチになったのだ。
考えとけよ、たけみっちーと言いつつドラケンとマイキーは自転車に乗り、タケミチと別れた。
✱✱
双葉は学校を終えると、急いで家に帰り私服に着替えて新宿の方へと向かっていった。
その目的、それは変装道具を入手するためである。
今後、もしかしたら変装が役に立つかもしれない、そう思った双葉は新宿にある舞台用などで使われているメイク道具が取り扱っている店に行っていた。
現代(みらい)で工藤有希子に伝授された変装術。
それを過去(ここ)でも活用していきたい。
そう思いながらメイク道具、ウィッグ、洋服と色々買っていった。
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