第3章 contact
マイキーはスタスタとタケミチに近づいてくる。
それに少し震えながらも、タケミチは1つ約束してくろと頼む。
ヒナには絶対手を出すな、と。
マイキーは知らねぇよ、と言いながらタケミチの顔を殴ろうと振りかぶる。
それに対してタケミチはビクッとしながら目をつぶり、殴られる覚悟をした。
……だが、マイキーは途中で止めたどころか、ニッコリと笑顔になりなーんてな、とおちゃらけてきた。
「バカだなーたけみっち!」
マイキーはタケミチの肩をバシバシ叩いたかと思いきや、昇降口の方へ歩いていき出ようとしていた。
「女に手ぇ出すわけねぇじゃん」
その言葉にホッとしていくタケミチ。
「たけみっちー、俺相手に凄んだな」
「スミマセン……」
「いいよ」
「へ?」
「譲れねぇモンがある……今どき女に言うやういねぇぞ」
昭和だな、と付け加えてタケミチに言うと、ハハ……とから笑いしつつも安堵する。
その後はと言うと、ヒナタが勘違いしていたということで謝っていた。
「好きな奴のために頑張るのはいいけど、無茶しちゃダメ。……相手が相手なら大変なことになってるよ」
マイキーはヒナタにそう伝えた。
マイキーだったから良かったものの、他のヤンキーなどだったら女でも容赦しないのだっている。
もっと自分を大事にして欲しい、マイキーが伝えたかったのはそういうことだろう。
ヒナタは校舎の方へ戻ると、タケミチにデートはまた今度でいいよ、と言ってくれた。
「いい子じゃん。……滅多にいねーよ、あんな子。大事にしてやれよ」
マイキーがタケミチにそう言うと、タケミチは驚いた表情を見せた。
タケミチがナオトに聞いた現代の東京卍會は、ギャンブル・詐欺・殺人・強姦・薬物となんでもありの極悪集団だった。
そんな組織のトップは佐野万次郎。
イメージ的にもっと酷いやつだと思っていた。
だが、実際に接触してみるととてもそんな風には思えなかったのだ。
何か東京卍會にあったのだ、犯罪組織までに成り下がるくらいの何か。
そう思いながら、後ろでマイキーが2ケツしている自転車を漕ぎながらタケミチは思っていた。
・