第3章 contact
その場は処刑コールでいっぱいになっていた。
キヨマサに殴られ続けている姿に千堂はみていられなくなり、ズボンのポケットに忍ばせていたナイフを取り出してキヨマサを刺そうとしている。
だが、タケミチは諦めずに必死に抗い、その姿に一同は息を止めるように静かになっていった。
「まだ……ハァ……まだ…だよ……」
「もういいよ、タケミチ!!」
「死んじまうぞ!!」
「タケミチ!!もうやめろ!!」
タケミチの友達である鈴木、山本、山岸はタケミチに止めるよう説得する。
だが、ここで逃げたら今までと一緒だ。
これまでの人生と同じになってしまう。
そう思っていたのか、タケミチは笑いながら言葉を続けていった。
「まだまだ……こんなんじゃ、俺の12年……ヘタレた心は……治らねんだよ!!」
タケミチが言っていることにわけがわからない一同。
この12年逃げてばかりの人生。
だからこそ引けないものがある。
「引けねぇんだよおおお!!!!引けねぇ理由があるんだよおおお!!!!
東京卍會、キヨマサ……勝つには、俺を殺すしかねぇぞ……!
ぜってぇ負けねぇ……!!」
(俺が……俺がヒナを救うんだ……!!)
タケミチは必死の覚悟でキヨマサにそう叫んで言った。
その態度に気に入らなかったのか、キヨマサはバットを持ってこいとその場にいるメンツに叫んだ。
(あの子……もしかしてタケミチくん?)
そのタイミングで、マイキー、ドラケン、双葉が喧嘩賭博している場所に到着した。
「おいキヨマサー、客が引いてんぞー」
「あ?!……あっ」
ドラケンが言葉を発すると、空気が一気に変わった。
そして続けてドラケンはキヨマサの方に歩きながら喋る。
「ムキになってんじゃねーぞー、主催がよォ」
「金の辮髪……こめかみに龍の墨……」
「ウソだろ……」
「東京卍會副総長、龍宮寺堅。通称、ドラケン!!」
ドラケンの後ろに着いていきながら歩いているマイキーと双葉。
マイキーはマイペースに、どら焼きを食べていた。
(よくこんなとこで呑気にどら焼き食べれるなぁ……マイキーって)
「ねぇねぇ、ケンチン」
「あ?こういうとこでそのあだ名呼ぶんじゃねぇよ」
「どら焼きなくなっちゃった〜」
『そりゃあ食べればなくなるでしょうよ』