第10章 さよなら北の海
ローはナデシコが体質のことで政府や海軍に追われながらも息子同然の人を探していたことも話した。
「だから、この先の偉大なる航路で巻き込むことになるかもしれなくて話すことにしたんだ。
既におれたちの船にナデシコが乗っていることは1部の海軍にはバレているみたいだったし。」
「そっか…」
イッカクが寂しそうに笑った。
自分はナデシコと仲良くなりたくて、でもナデシコはどこか1歩引いたところにいる気がしていた。
そこへずっと話を聞いていたナデシコが出てきた。
「ナデシコ?」
「あの…ずっと黙っていてごめんなさい。どうしても怖くて話し出せなかったんです。
皆さんを巻き込みたくなくて…でもローさんは居ていいって言ってくださって、それに甘えていました。」
ナデシコは頭を下げた。
それを見た一同は唖然としていた。
「なんだ…そんなことか。良かったよアタシ達、信用されてないのかって思っちゃった。」
イッカクが優しく笑ってナデシコの頭をなでた。
撫でられたことに驚き頭を上げる。
「怒ってないんですか?」
「怒る必要ないでしょ?」
イッカクの笑顔を見たナデシコの頬に温かい涙が伝う。
イッカクの行動に仲間がずるいぞ、イッカクばっかり!というヤジが飛んだ。
「俺たちだってナデシコを守る実力ぐらいありますよ!」
「そうですよ!キャプテン!おれたちだって海賊ですよ!
馬鹿にしないでください!」
ローは仲間のことをスルーしてナデシコを呼びつけた。
その様子を見ながら、ローの後をついていく。
ローはくるりと振り返ると大声を上げた。
それに対して仲間も負けじと大声を上げた。
「お前ら、リバースマウンテンに向けて船を進めろ。
指揮はベポとペンギンに任せる。リバースマウンテンが見えてきたらおれに知らせろ。」
「「了解!船長!」」
「アイアイキャプテーン!」
みんなは持ち場について船を水面下に沈めた。