第8章 知らない感情
ナデシコはずっと自分が生きてきた意味が分からなかったけどようやく生きる意味が分かってきた気がすると話した。
「つい3年前は大切な守るべき人も傍にいたのに
1人になるとふと考えちゃうんです。
あの人は今どこにいて何をしているのか。
元気なのかどうか、手がかりがあればいいんですけど
このノースブルーじゃ見つかりそうもなく…」
ローは胸の奥がチクリとする感覚に眉をひそめた。
(その、『あの人』って一体なんなんだ。
聞くからに男のようだが?)
ロー自身なぜそんなことを思ったのか自分でも分からない。しかし胸の奥が疼いたのは紛れもない事実でありローは困惑する。
「グランドラインに入れば手がかりがあるかもしれねぇな。」
「本当ですか!?」
「確実とは言えねぇけどな。」
「それでも構いません!些細なことでも分かれば。
もう一度だけでも会えたら。」
ナデシコが必死になるとまたローの胸はチクリとした。なぜこんなに必死なのか、相手はどんなやつなのか?聞きたいことがモヤモヤっと溢れてくる。
「その、ナデシコの言う“あの人”ってのは誰なんだ?
そんなに必死になる理由があるだろ?」
「あ…えっと…息子と言うべきですかね…?」
「はぁ!?息子!?」
ローはつい大声を出してしまった。
「あ、でも血の繋がりはありませんよ。
山に捨てられた子で私がただ育てただけです。」
ナデシコの言葉を聞き妙にホッとした自分自身になぜだ?と言う疑問を飲み込む。
「歳は?」
「あの人と別れたのは確か彼が17だったから…今は20ですかね?」
おれらより歳上じゃねぇかという言葉を飲み込んだ。