第8章 知らない感情
ローはちょっとした確信を得ていた。自分らが今関わっている女は不老不死の女なのだろうと。
ユイルの部下が話した噂と実験やら海軍に追われてる。天竜人に会わされそうになった。
どう考えてもそれが無関係なんて思えなかった。
「なぁ?お前らはどう思う?」
ローはシャチ、ペンギン、ベポにナデシコについて憶測として話した。
「どうって言われてもねぇ…
事実見ないと分かりませんし。」
「おれは、別に不老不死とかは興味無いっすね…。」
「そうそう!ナデシコはナデシコだもん!
それにキャプテンだって不老不死には興味無いでしょ?」
ベポの質問にローは当然だと答えた。
実の所、ローにとっても不老不死の話は自身に全く関係ないとは言いきれなかった。
オペオペの実の能力を極めると、その能力者の命と引き換えに対象の人物を不老不死にする究極の手術が出来ると言われている。
無論、ローは不老不死のことに関しては無関心だった。
そんな話をしていると突然ナデシコのいる部屋からガシャンと大きな音が鳴った。
ナデシコはみんなが食べ終えた食器の片付けをしていた。青年3人とクマが食べる量は多くお皿の量も比例する。その食べっぷりにふとキチベエを思い出した。
(あの子がいたらもっと騒がしかったりして)
そう思い耽ていたら手が滑ってしまった。
つるりと手から滑り落ちた皿は大きな音を立てて床に当たると粉々になる。
(あー、やっちゃった…)
急いで欠片を集めようとしゃがみ膝を着いた時、破片でヒザを軽く切ってしまった。
「いっ…!」
切り所が悪かったのか深く切り傷が出来てしまった。
「どうしたんだ?……それは」
そこへローがやってきた。
運がいいのか悪いのかちょうどナデシコの傷がゆっくり消えていく所を見てしまった。
「…!!」
ナデシコは驚いて傷を隠そうとした。
ローはすぐに彼女に近寄ると膝を見た。
血の跡があるが傷が消えている。
「これは一体…」
「な、なんでもないです!」
ナデシコは慌てて膝を隠したがそれは完全にローに見られていた。
一方、傷が癒えるのを目の当たりにしたローは噂話が本当だと確信した。