第7章 隠した傷跡
ローの目は真剣そのものだった。ナデシコがそんな事で降りようなら今すぐ海に投げ飛ばすのではないだろうかと思えるほど目付きが鋭い。
「大切な人を探したいからなんとか隠れながら生きようかと。」
どうせ死ぬことは出来ないしと心の中で付け足す。
「海軍におれ達が追われるのも時間の問題だ。
まだ、表立ってねぇがいずれおれの首にだって賞金は付く。」
「でも、私の問題だし…ローさんたちはローさんたちの目的が…。」
「どのみち、海軍を蹴散らさねぇとグランドラインは越えられねぇからな。船を降りるならお前の言う『大切な人』と再会してからでもいいだろ。」
「ローさん…。ありがとうございます…」
ローの優しさに涙が止まらなかった。
心が軽くなった気がする。
ローはナデシコが俯き泣いているところで優しく笑った。
みんなそれぞれ過去に心の傷を抱えている。
それを乗り越え強くなり優しい青年達になっていた。
きっと今の彼らを見たら彼らと関わった人達は誇りに思うだろう。