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尽きぬ命 愛が尽きるその日まで

第7章 隠した傷跡


船に戻るとベポが待っていてくれた。
ローたちに気づくと大きく手を振る。


「キャプテーン!みんなー!」


それに対してローたちも軽い返事をした。


「キャプテン、探していたものはあったの?」

「いや…本当に必要な情報はなかった…。
やはり、トカゲの尻尾切りみたいなものだったんだろ。」


ローは書類を握りしめた。
書類はくしゃくしゃと音を立てる。


「キャプテン…次があるから落ち込まないで!」


ベポの言葉にローは優しく笑った。


「船に戻ったらすぐに次の島に行くぞ。
その前にお前らの怪我の手当もな。」


シャチはあははと苦笑いをした。


「わ、私は大丈夫です。
少しシャワー浴びさせて貰えれば。」

「え、でも…」

「ほんとに、平気なので。」

「分かった。そこまで言うなら…
でも何かあったらすぐに言うんだよ?」

「ありがとうございます。」


ベポは心配そうにナデシコを見つめた。
その様子をじっとローが見ていたことには気づかなかった。

島から離れ潜水していた船が海上に上がるとナデシコはローのもとへやってきた。


「ちょっと甲板に出てもいいですか?潮風に当たりたくて…」

「……かまわねぇ。また潜水する時は声をかけるからその時は素直に戻れよ。」


こくりとうなづいて1人甲板に出ていった。
夜風がヒュっと吹き寒さに身震いがしたが、それもすぐに慣れる。

持っていた小型ナイフで自分の手をそっと切った。


「いっ…!」


血がじんわりとナデシコの手から滲み出てくる。
しかし少しの切り傷は30秒もしないうちに消えていった。それを見たナデシコはため息を吐く。


「こんなの…ただの呪いだよ…。気持ち悪い。」

「なにがだ?」


ローの声がしてナデシコはバッと手を隠した。
扉を開けっ放しだったからかそこにローが立っている。


「あ…いえ…。ローさん…どうしてここに?」

「おれも夜風にあたろうと思ったんだ。
別にいいだろ?」

「それは…」

ナデシコは視線を逸らした。



ローは少しナデシコの様子が気になっていた。
逃げ出すとかはありえないと思うが何かひっかかる。

隠し事をしていようがなんだろうが自分には関係ないはずだったがそれでも気になった。

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