第6章 実力がモノを言う
ペンギンに肩を借りてシャチが立ち上がる。
その痛々しい様子を見てナデシコは申し訳なさそうに俯く。それを見たローはナデシコの肩にぽんと手を置いた。
「女共は?怪我はしたのか?」
「いえ、彼女たちは無事です。
でももう少し機転利かせられてればシャチさんもあんなボロボロにならずに済んだのに…。」
「いや、それはあいつが弱かったからだ。
お前が気にする必要はねぇ。それより…」
ローはじっとナデシコを見つめた。
どんな動きをしたのか分からないが傷一つない。
戦っていれば多かれ少なかれ多少は怪我をするはずだ。
「お前…怪我はしてないのか?」
「あ…はい。なんとか。」
「……そうか。」
「あの、あの方たちはどうするんですか?」
ローはチラリと女性陣を見る。
「海軍には匿名で連絡を入れた。
すぐに保護しに来るだろう。
シャチ、ペンギン。船に戻るぞ。」
ローはスタスタと船に戻っていく。
シャチとペンギンもそのあとを続いた。
気づけば日がとっぷり暮れていて辺りは静かだった。