第5章 知らなかった世界
ベポはナデシコに白湯を持ってきた。
「これでも飲んで?落ち着くと思うから。」
「ありがとう。」
白湯は程よく温かく体に染み渡る。
ほうっとうっとりするようなため息が出た。
「ナデシコはおれ達が怖い?」
「え?」
「あぁ、いや怖いなら仕方ないよね。
だっておれ達、海賊だしキャプテンはけっこうぶっきらぼうと言うかなんていうか…」
「私は…怖くないと言えば嘘になるかも…
でもそれは海賊だからというより…みんな同じように生きている者だから。」
「それってどういうこと?」
「さぁね」
クスリと困ったように笑うとまた白湯を飲んだ。
ローとペンギンとシャチは彼女が作った小屋に行くと早速ガサガサと小屋にある食料を取り出した。
「1週間でこれだけ取って作るって狩りが得意なんですかね?」
ペンギンがその食料の多さに驚く。
「でも、さっき見たところ乱獲してる訳ではなかったじゃねぇか?
きっと数匹とっては腹が満たされないが生きてられる程度に食ってたんじゃねぇの?」
シャチの言う通りだった。
森の動物たちが極端に減っているわけではなかった。