第3章 動き出した運命の歯車
3人が小屋から出ると茂みからガサリと音がした。
「え…!?なに!?」
ベポがキョロキョロと辺りを見回し、青年が構えた。
「何か来るぞ!!」
茂みからガバッと何かが飛び出した。
それは石と木で出来た小刀を振り回し3人に襲いかかる。
小柄な体格に戦い慣れしてないそれはあっさりとベポに捕らえられた。
「女!?」
ベポとペンギンは襲ってきた相手の正体が分かると驚きの声を上げた。
「離して!もう研究所には戻りたくない!」
じたばたと暴れる彼女にベポは何度も落ち着いてと宥めた。その間、青年は彼女の体に違和感を覚える。
それはペンギンも気づいたらしい。
「なぁ、それよりあんたの着てるもの…検診衣じゃないか?ずっとボロボロだけど…それに
着てるものはボロボロなのになんでかさぶたの1つやふたつも見当たらないんだ?」
その言葉に女はピタリと動きが止まる。
「これは…その…」
何も言えずに俯く彼女に青年が問いただした。
「さっき研究がどうのって言ってたがそれとも関係あるのか?」
少し観察して考えてみれば分かる事だ。
彼女の反応といい状況といい、ただ島に住んでるだけではなさそうなのは一目瞭然だった。