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尽きぬ命 愛が尽きるその日まで

第3章 動き出した運命の歯車


さらに7年後

ワノ国はナデシコが知る限り過去最悪の国になっていた。
おでんが死にオロチが殿となり背後には海賊がいる。
空気は淀み川は汚れ2人の質素で優しい生活は苦しいものとなった。
近くの村では死者が多く出た。その中におはつもいたとキチベエは聞いた。

「あの、おはつさんまで…」

キチベエはわなわなと震えていた。

「キチベエ…」

知り合いが死ぬ心の痛みは慣れないものだ。
ナデシコも悲しみに暮れた。
自分では出来ないからキチベエの腹を満たしてくれてから子育てのことを教えてくれたりなかなか山から下りないキチベエを気にかけてくれた。

「母さん、おれ…海賊は難しいかもしれねぇがオロチは…!オロチを討つ!」

「馬鹿なことを考えるのはやめなさい!
今あんたが死んだら私はどうやって生きたら…!」

「でも!」

キチベエが勢いよく立ち上がると同時に小屋の引き戸が弾け飛んだ。
その先から奉行らしき人物と海賊ではないかと思う人物が2人ずつ立っていた。

「おや?お取り込み中だったかな?」

ニヤニヤと人を見下すような笑みを海賊は浮かべている。

「あんたら…なんの用だよ。」

「いやね、とうに無くなったと思っていた不老不死伝説が残っていると聞いてなんでも…
そいつは女性で切っても傷が消え死ぬことは無いと噂なんだ。不老不死の女を見つけたらオロチ様の元へ連れてくるよう命じられてな。
お前、そこをどいてくれやしないか?」

「母さんは不老不死でもないし怪我して手当てもなしに治らん。おれはガキの頃から見てきたんだ。」

キチベエがナデシコと彼らの間に立ち塞がった。

「みんな、そういうんだ。姉は、母は、妹は、嫁はって
だからそれを確かめるために腕をちいとばかりほんの切り傷ていどに切らせてもらってたんだ。
もちろん、それでも嫌がるやつは…」

スラリと奉行は刀を抜いた。そこには少し切った程度で付くような血の量ではない。
その血の持ち主がどうなったかは想像するに容易かった。

「どうだ?小刀でちょっと小指をな?」

キチベエはチラリとナデシコを見る。
不安そうにキチベエを見つめていた。
しばらく黙り込んでいるとピシャリと雷の音が鳴った。

「あ…雨…かしら…」

ナデシコがそう言った瞬間、彼は閃いた。
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