第5章 8月3日
マイキーとドラケンの和解から二日後───
アタシは自分の家のリビングの中、ソファの上でぐーっと体を伸ばしながら、長い溜息とあくびを吐いた。
外に目を向ければもう夕方で、遠くからパン…パン…と万雷の音が聴こてくる。
今日は、武蔵祭りの日……窓の外を覗くと、小さい子を連れた家族や、浴衣姿で歩く女の子達がチラホラと見えた。
「あーあ、アタシも行きたかったなー」
なんて独り言を呟いて、アタシは目線を手元に戻す。
書き込みだらけでぐちゃぐちゃになったノートと、充電器差したまま開いてる携帯電話。
東卍の隊長達や、情報収集に動いてくれてる隊員達とのやり取りで、昨日も今日もアタシは頭を働かせてた。
疲れてるトコに万雷の音が響けば、〝お祭り〟という夏のお楽しみに気を取られてしまうのは、仕方ないと思う。
まぁ元々、予定通りなら今日は愛美愛主との決戦だったワケだから、アタシはどちらにしろ行けなかったんだけど……
「エマ達、Wデート楽しんでるかな……」
ヒナちゃんはタケミっちと、エマはドラケンと、お祭りデートに行っている。
それを思うとどうしても、アタシもマイキーと行きたかったなー……なんて、アタシの頭は考えてしまう。
アタシが行きたいと言えば、マイキーはきっと連れてってくれるんだろうけど……一昨日までマイキーとドラケンの喧嘩で揉めてた東卍を、ほったらかして祭りではしゃぐ事は出来ない。
ホントはドラケンも同じ理由で行かない気で居たけど、マイキーとアタシが後押しして半ば強制的に行かせた。
東卍の問題の為に、エマの楽しみを奪うワケには行かないもん。
「………」
アタシは手元にある水を一口飲むと、思考を切り替えて、再びペンを手に取った。
頭の中を整理しながら対策を考える為に、ノートにペン先を走らせる。
愛美愛主の残党がまた集まり始めてるとか、参番隊の中に不穏な動きがあるとか、まだまだ不安材料が拭えてないんだから……
〜〜♪
「ん?」
携帯に着信がかかった。
隊長の誰かかと思って、アタシは携帯を手に取る……隊長ではなく、ペーやんからだった。
「もしもし、ペーやん?」
《ユウ……》