第3章 東卍の危機
総長(マイキー)からの緊急召集……アタシを通してじゃなく直接かけられんのは久しぶり。
他ならないパーちんが捕まってしまったんだ。
隊長の一人が捕まってしまったこの事態、確かに幹部には直接話す必要あるよね。
「マイキー」
《ん?》
「ちゃんと寝てね」
アタシばっか弱音吐いてしまった……マイキーも辛いはずなのに。
《うん……明日、迎え行く》
アタシが「歩いて行くよ」と言うと、マイキーからすぐ「ダメだ」と返された。
《少しでもオマエと一緒にいてーの》
「それはアタシもだよ」
《……やっぱ、今からそっち行く》
「……ダメ。今日はもう休んで」
アタシも会いたいのは本当だから、少し考えたけど……今は休む方が先決だ。
《ケチ》
「あー、明日歩いてこうかな」
《それはダメだ!》
「じゃあ、大人しく待ってるから、今日は休んでね?」
《うー……わかった。しょーがねーから我慢する》
最後に「おやすみ」と言い合って、アタシはマイキーとの通話を終えた。
マイキーやドラケンには休んでって言ったけど、こうして家で一人で居ると、アタシはどうしても色々と考えてしまう。
「マイキーの話って何だろ……」
落ち着いたと思ってたのに、アタシはまた胸がざわつくのを感じた。
◇◆◇◆
翌日───
アタシはマイキーのバブに乗せてもらって、一緒に武蔵神社に向かった。
いつもより会話はなかったけど、マイキーはいつも以上にアタシにくっ付いて歩いた。
数分も待てば、今日呼ばれた全員が到着する。
マイキーとアタシ、ドラケン、場地、三ツ谷、スマイリー、そして伍番隊隊長・武藤 泰宏ことムーチョ……パーちんを除く東卍の幹部が集まった。
拝殿前の広場で神社を背にマイキーが立って、アタシ達はその周囲に立つ。
「マイキー、話って?」
「……パーちんが捕まった」
マイキーはまず、昨日起きた事をみんなに話した。
愛美愛主に奇襲をかけられた事、長内をタイマンでノシた事、パーちんが長内を刺した事……
「警察が来てたのに、オレらはパーを置いてっちまった」
「パーちんは自首したんだろ」
俯くマイキーに、三ツ谷が諭すように言った。
それを引き継ぐように、ドラケンが口を開く。