第9章 参謀の策略
翌日、10月24日───
マイキーとドラケンは、今日は学校完全にサボったようだった。
学校で授業を終えての放課後、アタシは携帯を開いてメールを確認する。
マイキーから連絡は来てないから、多分ドラケンとツーリング中か、いつものファミレスに居るかかな。
「………」
アタシはパチンと携帯を閉じて鞄にしまう。
今日はこのまま、溝中に向かう事にした。
目的はタケミっちに会う事……彼に、アタシが持ってる芭流覇羅の情報を伝えようと思った。
場地を連れ戻せってマイキーに頼まれたタケミっちが、下手なマネして危険な目に遭わないように……そして余計なマネしてくれないように、ね。
なんなら、アタシがタケミっちに協力するのもアリだし、そのまま溝中で簡単な作戦会議でも……
そう考えながら歩いている途中
〜〜♪
「ん?」
アタシの携帯に着信がかかった。
マイキーかな?と思いながら携帯を開いてみると、そこに表示されたのは意外な名前。
「……もしもし、敦くん?」
タケミっちの友達の、千堂敦くんからだった。
《ユウさん!いきなり連絡してすいません!》
「別に良いけど……それで?アタシに何か用?」
《その、タケミチが……タケミチが、芭流覇羅のアジトに行っちまって》
「はぁ!!?」
驚きのあまり、アタシの口からは大声が出た。
通行人が、チラチラとこっちを見ては逃げるように離れてく。
アタシはそれに構わず、声も抑えないまま敦くんに聞き返した。
「タケミっちが一人で芭流覇羅に突っ込んだってワケ⁉︎」
《いや、突っ込んだとかじゃないんスけど……》
敦くんは少し言葉を詰まらせながら、さっき起きた事を説明してくれた。
《オレらが教室で話してたら、いきなり羽宮一虎って奴が現れて、タケミチに抱きついたと思ったら『芭流覇羅のアジトに連れてってやる』っつってそのまま……》
「……ハァァァ」
敦くんの話を聞いて、アタシは口から盛大なため息を吐き出した。
《すいません……オレら、追いかけようにもどうすりゃ良いか分かんなくて……》
「いや、いい。アンタ達は何もしないで」
アタシは自分の額に手を当てながら、敦くん達には余計な事をしないよう伝えた。