第7章 総長と参謀
今日の集会では、隊員達には新しい参番隊隊長を就ける事だけを伝え、それが誰かまでは話さなかった。
次の集会で任命式を行うと宣言したマイキーに、隊員達は声を上げて応える。
アタシは、そんな隊員達の様子を眺めつつ、マイキーをジッと見上げ佇んでるペーやんに目を留めた。
ペーやんにだけは、後で直接伝えよう……
そう頭の中で考えてるうちに、視界の端に金髪頭が映った。
「!」
それは、隊員達の圧に負けそうになってる、タケミっちの姿。
しきりに辺りをキョロキョロ見回して、顔色青くして肩をビクつかせてる。
「……今日のタケミっち、やけにビビってない?」
アタシは、小声で隣に居るドラケンに聞いてみた。
「あ?タケミっちがどうした?」
「いや、なんか……いつも以上に情けなく見えるっていうか」
ドラケンは「そうか?」と返しながら、タケミっちへと目を向ける。
「んー……アイツなら、いつもあんなモンだろ」
「うーん……?」
確かに、タケミっちはビビりだけど……だからって、もう何度も参加してる東卍の集会で、今更あんな怯える?
違和感があってタケミっちを観察してるうちに、アタシはふとある事に気付いた。
「そういえば、タケミっちの中学って……」
「?今度は何だ?」
「あーいや、何でもない」
ドラケンにそう返して、アタシはまたタケミっちを見つめた。
タケミっちが通ってる大溝中学校は、確か……一虎が在籍してる中学だ。
一虎は溝中の3年……出所したアイツが真面目に通ってるとは考えにくいけど……
「………」
東卍と関わりのあるタケミっちに、一虎が接触して来ないとも限らない。
後で注意しとかなきゃ……
事前に気付けて良かったと、アタシは一つ息を吐いた。
◇◆◇◆
集会が終わった後、アタシは先ずタケミっちの元に向かった。
「タケミっち」
「!はいっ⁉︎」
「声でか」
ビクッと肩を大きく跳ねらせて、タケミっちは恐る恐るアタシを振り向く。
「あっ、ユウ、さん…お疲れ様です?」
アタシの顔を見て、少し頬を赤くしながら、タケミっちはヘラっと笑った。