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【東京卍リベンジャーズ】One Heart

第7章 総長と参謀


───8月13日


アタシは、花と線香を持って霊園を訪れた。


「和月」


「ユウ、おはよ」


表で待ち合わせしてた、マイキーとエマと合流する。


「おはよ、二人とも」


スッとマイキーが先を歩いてく後に、エマとアタシも続いた。


いつもはマイキーがそうしてるように、今日はエマが、アタシの横にピッタリくっ付いてる。


霊園の中に入り、立ち並ぶ墓石の前を進んで行き、目的の墓石の前で足を止めた。


佐野家のお墓……御先祖様、マイキーの亡き両親、そして──亡き兄が眠る場所。


「……久しぶり、真一郎」


「ユウが来てくれて、兄貴きっと大喜びだね」


墓石に挨拶するアタシの横で、エマはニシシッと笑った。


いつもの明るい笑顔でも、どこか寂しさが滲んで見える。


今日は、マイキーとエマの兄・佐野 真一郎の命日。


真一郎は、アタシにとっても兄のような人で、一番歳の離れた友達だった。


「目に浮かぶよ……『大っきくなったな!』って言って笑ってさ、真一郎が頭撫でてくんの」


「わかる!兄貴、ユウの頭撫でるの好きだったもんね」


「エマも撫でられたでしょ?」


「ウチはあんまり。髪グシャグシャにされんのヤだったし」


そうだったっけ?と考えてアタシは、そー言えばエマは小さい頃からオシャレさんだったな、と思い出す。


エマとアタシの会話を無言で聞いてたマイキーが、こちらに顔を向けて笑った。


「よし、まずは掃除だな」


「だね。始めよっか」


アタシは、墓石の周りに少しだけ生えてた雑草を取り除く。


マイキーは、墓石に水をかけて、軽く拭いた。


エマは、花立ての水を変えて、エマ達が持ってきた花とアタシが持ってきた花を生ける。


最後に、線香と蝋燭に火をつけ、墓前に手向けた。


「………」


最初にマイキーが、墓前に蹲んで、手を合わせる。


それを見てアタシが迷ってたら、エマがアタシの背中を押した。


アタシはエマに頷いて、マイキーの隣に蹲み込む。


目を閉じて、手を合わせ、心の中に真一郎を思い浮かべた。


いつも頭を撫でてくれた大きな手、バイクに乗せてくれた広い背中、オイルとタバコの匂い、太陽のような笑顔……


──「和月」


アタシの名前を呼ぶ、優しい声。


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