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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第6章 東京卍リベンジャーズ・龍宮寺堅







トイレを借り
席に戻る時
いつの間にか店の客が俺たちだけになっていた事に気付いた

壁の時計を見ると結構いい時間だったので
「そろそろ帰るか」と2人に言い
会計を頼んだ


伝票の計算をしている彼女の方を見て
三ツ谷が「いい子じゃん」と言う

そして
「……照れ隠しにフルネームで呼ぶなんて…ドラケンもかわいいとこあったんだな…」と
またも意味深に笑った


この俺の
どこがかわいいというのか


(…顔には出てねーが…三ツ谷のヤツ飲み過ぎだな……ま、歩けてっから大丈夫か…)


そんな事を考えていると
八戒が横から言った


「ドラケン君、あの人…彼氏も旦那もいねーって」

「は?」


ポカンと口を開けている俺に
三ツ谷が当たり前のように続ける


「オマエがトイレ行ってる間に俺が聞いといた。…あ、オマエもフリーだって言っといたから」

「すごく嬉しそうだったよ」

「はぁ??」


酔った頭でようやく理解し
額を押さえて目を閉じた


俺はすっかり忘れていたのだ

三ツ谷が元来アニキ肌で
酔っ払った時は特に世話焼き病が出ることを




会計を済ませ
俺たちが店を出ると
彼女は外まで見送ってくれた


『どうもありがとうございました!また来てくださいね』

「うん。また寄らせてもらうねー」


三ツ谷と話している彼女の声を聞きながら
俺は店の外観を見上げた



(…そー言えば…あの日ここまで送ってきたな…)








『…あそこにある居酒屋の2階が家です。…送ってくれてありがとうございました』

「あ?…もう着いちまうじゃねーか…」


その時
俺は自分が何もお返しを用意して来なかったことに気が付いた


そこまで気を回せるような精神状態じゃなかったとはいえ
このままではあんまりだと思った俺は
「ちょっと待ってろ」と言って目の前にあったコンビニに入った


レジの真横に売っていた
ホワイトデー用の瓶に入ったキャンディ

むき出しのままビニール袋に入れられたそれを
仕方なく彼女に差し出す


「…え…?」

「……悪ィ……こんなんしかなかった…」


色気も何も無い
本当にやっつけのような品物だったけれど
彼女はすごく喜んでくれた


『嬉しい』と言った瞳が潤んで
一瞬焦った


あの時の笑顔が
今の彼女に重なって見えた






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