第6章 東京卍リベンジャーズ・龍宮寺堅
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『龍宮寺先輩!…コレ……良かったら貰ってください!』
バレンタインの日
昼休みの屋上で彼女は小さな箱を差し出してきた
「……おぅ……ありが…」
「ケンチーン?何してんの?」
『…っっ……佐野先輩…』
彼女の後ろから現れたマイキーは
「何これ〜?」と言って箱を手に取った
「開けていーい?」
『…ぇ…あ……あの…』
呆気に取られている俺達の前でマイキーはさっさと箱を開けると
「わーチョコじゃん♪いっただっきまーす」と言ってパクパク食い始めた
「んーーーすっげー美味い♪」
「バカ!返せ!」
逃げるマイキーを追いかけてやっと取り上げた時には
ほとんど食べられてしまった後で
最後の一粒だった赤いハートの形をしたチョコを
俺は急いで口に入れた
「あー!それ…一番美味そうだから最後に残しといたのに…」
「うるせー‼︎人がもらったモン勝手に食うな‼︎」
俺に怒鳴られたマイキーは
口を尖らせ
ブツブツ言いながら屋上のドアから出て行ってしまった
「……悪い…」
『……いえ……いいんです………一番食べて欲しかったのを…先輩が食べてくれたから…』
彼女は微かに笑顔を引きつらせながらも
そう言って許してくれた
「……」
『…それじゃ、失礼します』
「…おー……ありがとな織月レイナ」
屋上のドアから出て行こうとした彼女が振り返る
『…あ、そーだ先輩♪今度デートしてくださいね』
「おぅ…」
「そのうちな」と言いかけて言葉を止めた
いつもの彼女の笑顔が少しだけ悲しそうに見えた俺は
「いつがいい?」と言った