第6章 東京卍リベンジャーズ・龍宮寺堅
「…12年て…長げーよな………あの頃……オレ達、中坊だったんだぜ…」
三ツ谷はそう言うと
ウサギのぬいぐるみを見て懐かしそうに目を細めた
「…たった14、5歳のガキの間に……色んな事があったよな…」
「……」
「……」
少ししんみりした空気の中
八戒が口を開いた
「……マイキー君の手紙もそうだけどさ……ドラケン君の手紙の内容聞いた時にも……オレ…ホッとしたんだ…」
「?」
「……"結婚はしたか?"……"子どもはいるか?"…って………ドラケン君は…そういう未来を……あの時でも…ちゃんと見てたんだな…って…」
「……」
この手紙を書いた時
俺は大切な人を亡くしたばかりで
八戒はその事を言ってるんだろうと思った
「……何か…上手く言えないけど……さすがだなって…思った………タカちゃんも…ドラケン君も………やっぱ…かっこいいよ…」
八戒はそう言って
昔のようにニカッと笑った
その笑顔がくすぐったくて
俺は八戒のこめかみを拳で挟んでグリグリと力を入れる
「イデデ!何すんだよドラケン君!」
「…ふざけるな…オマエに心配されたらおしまいだ」
痛がる八戒を見ながら
「そりゃそーだ」と三ツ谷が笑った
「オレの体、昔と違って商売道具なんだからね!…しかも褒めたのに…ひでぇ…」
こめかみを抑えながら
八戒が涙目で抗議する
「そーかよ。じゃ殴っていーとこ出せや」
「頭の先から足の先まで…いつでも人前に出せるようにしとくのがプロなの!」
「は⁉︎きたねーぞ八戒!」
言い合う俺たちを見て
三ツ谷はゲラゲラ笑っていた
その時
店の入り口が開いて
ひとりの女が入ってきた
酒のせいもあり
声がデカくなっていたのかも知れない
その女は騒がしくしている俺達のテーブルの方を見ると
ハッとした顔で口元を抑えながら叫んだ
『えぇっ⁇龍宮寺先輩⁉︎⁉︎』
興奮した様子でこちらへ駆け寄ってくる
『わぁぁ〜〜本物だ///…先輩、私のこと覚えてますか⁇」
その女の笑顔に
懐かしい記憶がよみがえった
「…おー!織月レイナ‼︎」
『ちょ、その呼び方!懐かしい〜…ヤバい!泣きそう!』
飛び跳ねそうな勢いで喜んでいるその女を
俺は「中学ん時の2個下の後輩」だと
三ツ谷と八戒に紹介した