第5章 東京卍リベンジャーズ・松野千冬
「……っ…」
彼女の瞳が潤んでいるのに気付いて
俺は慌てた
「……ゴメン……嫌だった?」
身体を離そうとすると
レイナは小さく微笑んで首を横に振った
『………ううん………嫌じゃないよ……………でも……』
「…?…」
『……すごくドキドキして……苦しい…』
「……」
『…………どうしよ……』
ひとり言のように呟いた後
彼女は続けた
『……千…冬くん…』
「……ん?」
『……っ…』
何か言いかけて恥ずかし気に視線を晒す仕草に
俺は彼女から告白された時を思い出した
「…?…」
レイナは少し背伸びをして
両腕を俺の首に絡めると
耳元に唇を寄せて
小さな声で言った
『…………大好き…』
その言葉を聞いた瞬間
身体に電気が流れたような気がした
(……あぁ……そうだった……)
レイナは始めから
俺を好きだって言ってくれていた
一度も話をした事がない時から
俺のことを見て
想っててくれた
こんなに恥ずかしがりのくせに
勇気を出して告白までしてくれた
そんな彼女を愛おしく思う気持ちが
後から後から込み上げてきた
一度あふれ出した想いはもう止められなくて
俺はレイナを抱きしめた
「……好きだよレイナ………スゲー好き…」
心臓が誰かに掴まれたように痛くて
強く目を閉じる
「……オレ……オマエの事…誰にも渡したくない…………レイナの全部…欲しい…」
(……あー…またヤバいこと口走ってる………すぐ謝んなきゃ…)
わずかに残っていた理性で自身をたしなめた時
熱に浮かされたような頭の片隅で
彼女の声が聞こえた
『…いいよ…』
腕の中で顔を上げたレイナは
俺の目を見つめて微笑んだ
『………私の…全部………千冬君にあげる…』