第5章 東京卍リベンジャーズ・松野千冬
『……ね………松野……君……?』
「……」
レイナの手を引き
ほとんど会話もしないまま早足で歩いて
自分の家に連れて来た
部屋のドアを閉め後ろを振り返ると
息を切らせたレイナが立っていた
『……ハァ……ハァ……』
彼女は肩で息をしながら
戸惑ったような上目遣いで俺を見上げる
「……っ…」
いつもならドキドキするはずなのに
それが無性に気に触った
俺以外の男が
彼女を下の名前で呼び捨てにするのも
俺以外の男が
彼女を獲物のような目で見るのも
俺以外の男が
彼女に触れるのも
こんなに嫌なんだということを思い知った
そして
それを拒絶せず
ただオドオドしているレイナの態度が
相手の男の本能を煽るような結果になっている事に
俺は気が狂いそうな程イラついていたのだった
わざとやっているワケじゃない
まして
誘っているワケじゃない
それは分かってる
でも…
" 他ノ男二 ソノ目ヲ向ケルナ "
それを
教え込まなければいけない
俺の頭の中は
そんな考えに支配されていった