第5章 東京卍リベンジャーズ・松野千冬
「…面白ぇ……こんだけの人数相手にほざいてやがる…」
「……東卍の副隊長ぶっ潰せば相当ハクが付くぜ…」
「よーし!やっちまえ!」
殴りかかって来る男達を
俺はその場で全員ノシた
口ほどにもない奴らだった
人目の多い場所だった為
誰かが通報したのだろう
パトカーの音が聞こえたので
俺は咄嗟にレイナの腕を掴むと
走ってその場を離れた
しばらく走っていると
後ろから声がした
『………待っ…て…………松…野君……』
足を止めると
彼女は苦しそうに胸を押さえた
『……ハァ……ハァ………ごめ………私………そんなに早く………走れな……』
「……わぁぁ………オ、オレの方こそ…ごめん……」
近くの公園のベンチに彼女を座らせ
自販機で買った水を手渡す
『……ありがと…』
「……」
女連れの時にケンカしてしまった事を
俺は今更ながら反省した
「……織月……ホントにごめん……一緒の時に…こんな…」
(……しかも初デートなのに……何やってんだよオレ……)
そんな俺に
彼女は首を横に振った
『……ううん……松野君は悪くないよ…』
「………ハァ………良かった……呆れられたかと思った…」
『……何で…?………庇ってくれたのに…呆れる訳ないでしょ………フフ………ケンカ強すぎてビックリはしたけど…』
思い出したように笑うレイナに
苦笑いを返す
「…そんな…強くもねーよ…」
『……松野君…て………すごく…仲間想いなんだね…』
ひとり言のような
小さな声が聞こえた
『………仲間の為に本気になれる人って…カッコいい…』
「……?…」
聞き間違いかと思って彼女の顔を見ると
ニコッと笑顔を返された
「……」
その後
俺の家にレイナを連れて来たけれど
自分の部屋に彼女がいるだけでドキドキしてしまい
何を話したかも覚えていなかった
己の不甲斐なさをしっかりと自覚した俺は
「これは誰かに相談しないとダメだ」と思い
聞いてくれそうな人の顔を何人も思い浮かべてみた
(…みんな…悩み相談を聞いて"は"くれそうなんだよな…)
けれど
この手の案件に関して適切なアドバイスまでしてくれそうなのは
何度考えてみても三ツ谷君一択だった