第5章 東京卍リベンジャーズ・松野千冬
色々な曲を聞いた後
彼女は俺が勧めたバンドのCDを買うと言い出した
「このバンドのアルバムなら全部持ってるから…貸してやるよ」
『わー♪どうもありがとう…楽しみだぁ』
「…月曜に学校で渡してもいーけど……もし早く聴きたかったら…今からオレんち来る?」
『…ぇ…いいの?』
「いーよ。さっき話してたマンガも見せたいし」
『ありがとう♪』
そんな話をしながらCDショップを出ると
前からガラの悪い男達が10人位
ガヤガヤと騒ぎながら歩いて来た
レイナを壁側にしてすれ違おうとした時
グループの中のひとりの男がわざとらしく壁の方へ避け
彼女にぶつかる
『……っ…』
「…大丈夫?」
『…うん…』
転びそうになった彼女を咄嗟に支えると
そのグループの男達が絡んできた
「…けっ…イチャイチャしやがってよぉ」
「…ったく…気に入らねーなぁ」
「……」
ミエミエのあおり方にブチギレそうになったけれど
レイナが居たのでなんとか堪える
「…行こう…」
相手にせずその場を離れようとすると
別の男が立ちはだかった
「…待てよ」
「……」
正面から俺を睨み付けたその男が
ハッとした顔をする
「オイ…こいつ東卍の松野じゃん」
その言葉を聞いて
男達は一斉に取り囲んできた
「おー。ホントだ……あ、でもよー…東卍じゃなくて…"元"東卍な」
「そーだった…東卍はもう解散したんだったなぁ?」
「…やべぇチームだったよな〜…創設メンバー同士で殺し合いしたり…抗争相手が拳銃持ち込んだりよぉ…」
「無敵の総長は…解散してから行方不明なんだろ?」
「…ビビッて逃げたんじゃねーの?……ダセーよな…」
バカにしたような笑いを浮かべながら
口々にそんな言葉を投げつけてくる
「……」
それでも動かない俺を見て
ひとりの男が
レイナの足元ギリギリに火の付いたタバコを投げ捨てた
「……オイ…」
その瞬間
俺の我慢は限界を迎えた
「…そこまでやるからには…覚悟出来てんだろーなァ…このゴミカス共‼︎」